top of page
​EAST&WEST

このプロジェクトの一番大きな特徴は、「(住宅の)部屋配置をコンピューターに決めさせた」という点です。

詳細には、Processingによる「C言語」として記述されたアルゴリズムに従って「(住宅の)部屋配置」が決定される、というものです。以下 説明します。

 

通常、建築計画での(住宅の)「部屋配置」は「手」が決めてゆきます。最初に大枠の機能分け、次にそれらの関係を検証し、最終的に「部屋割り」ができあがります。しかしながら、これらはいつも経験と勘に頼る部分でしかありません。そこで【EAST & WEST】では、それをコンピューターによって決定させてみました。

-設計     :前田紀貞アトリエ一級建築士事務所(担当:黒瀬直也)+村山理
-構造設計:梅沢建築構造研究所

-詳細説明:アルゴリズム建築第二弾(EAST&WEST)

PROCESS

まず、クライアントより要望された住宅(家)の諸室をリストアップしてみます。
【1階】:玄関・リビング・ダイニングキッチン・祖母室・水周り
【2階】:主寝室・子供室・吹抜
と、合計8種類の住宅の部屋が想定されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


次に、「住宅の各部屋は小さなパーティクル(玉)によって構成されている」とモデル化します。【原子】が集まって【分子】を作るように、【パーティクル】が集まって【部屋】を作ると仮定する、ということです。上の「8色」は「8種類の部屋」ということ、また「パーティクルの数」は「部屋の大きさ」を示します。まずは、こうした「プログラムを書く上でのモデル」を設定すること、これが「アルゴリズムによる住宅の部屋配置決定」のスタート地点となります。

まずは初期設定として整然として整列させられたこれらパーティクルを、「施主の要望」に合うように配列し直す作業が行われます。つまり要望に合う家へ仕向けてゆくのです。無論、パーティクルの席替えは、アルゴリズムが規定する「席替えルール」があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通常ですと、住宅(家)の部屋配置を決定する為の「クライアントの要望」を建築家が経験と勘によって組み立てますが、【EAST & WEST】ではそれが「(諸室を構成する)パーティクルの仲良しの程度」という力学に置き換えられます。「パーティクルの仲良しの程度」、つまりこれが「クライアントの希望する部屋どうしの関係」を実現へ導く手法となります。つまり、クライアントが望む家の 設計へ着実と向かっているのです。

「パーティクルどうしの仲良し度合い」のイメージとしては、「粘着 or 反発の力学」といえます。この「仲良し度合い」を、各々の部屋のパーティクル(部屋)が席替えをする“動機”として設定し、「好きな玉どうしは近づき、嫌いな玉どうしは離れられるような席替えを行うようプログラムする」、これが今回のアルゴリズム操作の基本です。
実際のC言語によるアルゴリズムの記述では、「パーティクルの関係度合い」(粘着度合い)はProcessingによって規定されます。初期設定としてそれだけ決定しておけば、そこで僕達は何も手を貸すことはありません。そのうち、パーティクルたちは、クライアントの要望を上手に咀嚼しながら座席位置を交換し合い、その交換 が最高に満足した収束に至る(部屋割決定)まで席替えは行われ続けます。

“ALGODeQ は、建築の設計案を求める通例の建築コンペではなく、
「アルゴリズミック・デザイン」のプログラムと、その作品を求める、世界初のコンペです。
「アルゴリズミック・デザイン」とは、
建築に求められる「要求条件」をかなえる「アルゴリズム」を創出し、
そのアルゴリズムを実行して設計を生みだす「コンピュータプログラム」を開発し、
そしてそのプログラムを用いて建築を「生成」する、建築・都市の新しい設計「方法」、を指します。
コンピュータは設計に不可欠ですが、CAD やCG のような「手の延長」としてだけではなく、
考え創造する「脳の拡張」として、コンピュータを使おうとする試みです。
それは、人の能力を代替するものではなく、ひととコンピュータそれぞれが、その得意な能力を発揮し
協同することで、単独ではできない、よりよい建築や街が生まれることを意図しています。”

引用元:ALGODeQ アルゴリズミック・デザイン クエスト/国際プログラムコンペティション 賞発表ご案内

 

2013年11月4日に発進されたALGODeQは約1年後の2014年11月3日に受賞発表が行われました。

ALGODeQには応募者が独自に作成した「アルゴリズミック・デザイン」の「コンピュータプログラム」を応募するQP 部門(ALGOrithmic Design Program 部門)とさらに独自に作成した「アルゴリズミック・デザイン」のコンピュータプログラムを用いて設計し、実際に完成した「建築作品」を応募するQA部門(ALGOrithmic Design Award 部門)があり、今回、この【EAST & WEST】がQA部門(ALGOrithmic Design Award 部門)に入賞しました。

ALGODeQ

さて、上が最終的に席替えが終了し停止状態に至った諸室の様です。
荒削りの原石のような顔付きですが、これが、パーティクルどうしが皆で一番納得し合った席替えの結果といえます。これこそが、「コンピューターが計算してくれた家の部屋割」なのです。

次は、この原石を建築に持って行く為の方法が模索されます。その為の「建築化」の手法が幾つも考案され、実際に採用されたのが、「H=800(天井高×1/3)の帯で象る」というサブルールでした。







これは、各階ごとに「下・中・上」の三層の帯、すなわち
下層: 床±0  ~ 800
中層: 床+800 ~ 1600
上層: 床+1600 ~ 2400
によって、最初の原石の領域を象ってゆく方法です。結果、「うねるように交錯した壁構成」が生成してきます。


模型は、左が1階、右が2階となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


最後にこれらを平面図に写し取ります。ダブルになったラインが多数ありますが、これが「3層の帯」の重なりを示しています。

​前田紀貞アトリエ:http://maeda-atelier.com/

​前田紀貞アトリエ:http://maeda-atelier.com/

​前田紀貞アトリエ:http://maeda-atelier.com/

bottom of page