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建築を志すにあたって、

僕が最初に出会った師が「増田友也」先生だ。

 

先生の華々しい建築の業績はありながらも

二十歳の僕はそんなことには何の関心もなく、

それよりも、

先生の座り方、目つき、しゃがれ声、

タバコの吸い方、身なり、

そんなもの全部にやられてしまった。

 

高校の時、

格好いい先輩に憧れたのと何ら変わりない……

そこに、理由など何も無かった。

あれから四十年の間、

ずっと先生を私淑し続けている。

先生を超えようとしたことなどないし

先生の言われることが違うとなど

夢にも思ったことはない。

いや、自分にそんな不遜 思える筈がない。

僕ができることといえば、

せいぜい先生の御気持を

後生へ伝達する伝書バトのようなものでしかない。

そういう本物の師に出会えたからこそ、

僕の建築人生は

「根なし草」ではないと断言できる。

増田友也先生

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